川口隆夫ディレクション企画 「舞踏 ある視点」
佐藤ペチカ 『花よ蝶よ』

『花よ蝶よ』(約40分)


BUTOHスナック(約45分)



内省的なパフォーマンスに多くの支持者をもつ、佐藤ペチカのソロ新作です。水槽を抱えて旧博物館動物園駅の階段を降り、地下空間で水と遊戯し、やがて大きな向日葵のオブジェをまとう佐藤ペチカは、幼虫から蝶へと変態して地上へ向かいます。地上と地下、生と死、内と外の関係を変容させていく、静かなスリルに満ちた映像作品となっています。

佐藤ペチカについて

佐藤ペチカはモダンダンスの文脈で活動するダンサーですが、彼女の踊りはパフォーマンスの要素を多分に含んでいます。TRUアーティスティック・ディレクターの川口隆夫は、その場に無防備なまでに身体を投げ出していく彼女のパフォーマンスを見ていると舞踏の始まりを感じる、と言います。

佐藤はソロ活動を続けながら複数のカンパニーの作品に出演し、2016年には川口隆夫とジョナサン・M・ホールのパフォーマンス作品『TOUCH OF THE OTHER』に出演しています。また2006年にはパフォーマンスグループ「シュガーライス٠センター(S.R.C)」を結成するなど、多方面でコラボレーションを行なっています。

『花よ蝶よ』について

川口の依頼をうけ、佐藤ペチカは新作のソロ・パフォーマンスを制作、上演します。

水槽を抱えて、運ぶ。

運んだ水槽を、置く。

文章にすると単純な行為ですが、作品の冒頭で佐藤は仰向けに寝そべり、身体の上に水槽を置きながら、地下へ向かう階段を頭から這い降りていきます。水槽のなかの水はその下にある佐藤の身体の一部分を映し、また、身体の動きにつれて波打ちます。常に外部やオブジェとの関わりを通して身体のありかたを思考し、パフォーマンスを行なう佐藤ペチカ作品の特徴が、この新作にも現れています。

緊張感に満ち、かつ内省的な佐藤の動きは、地上と地下、内と外、エロスとタナトス、狂気とエレガンス、身体とオブジェといった、たくさんの境界線上のぎりぎりの縁を進みながら、世界を変えていきます。

地下空間に響くノイズミュージックは、望月隼人のギター演奏によるものです。

アーティスト

© Tomoko Kosugi

佐藤ペチカ|Pechika Satoh

1965年愛媛県生まれ。高校よりバレエを始め、東京に進学後はジャズダンス、ショーダンス等を経験する。95年よりソロ活動を開始。山田うん、ノマド、舞踏集団開座などに出演し、はみ出しながら踊る。06年、飯田晃一と中川敬文とともにパフォーマンスグループ「シュガーライス٠センター(S.R.C)」を結成。写真家の飯村昭彦ともコラボレーションを行う。12年より深谷正子「ダンスの犬」に参加、16年川口隆夫作品『TOUCH OF THE OTHER』に出演。ヨガを学び、基礎とする。

ホスト

川口隆夫|Takao Kawaguchi

1996年よりパフォーマンスグループ「ダムタイプ」に参加。2000年よりソロ活動を開始し、演劇・ダンス・映像・美術をまたいでパフォーマンスの幅広い可能性を追求する。08年より私的パフォーマンスシリーズ『a perfect life』を展開し、13年に第5回恵比寿映像祭に参加。近年は舞踏に関するパフォーマンス作品『ザ・シック・ダンサー』(田辺知美と共に、12年)、『大野一雄について』(13年)を発表。後者はニューヨーク・ベッシー賞にノミネートされ、18年にはパリ市立劇場でも上演された。
http://www.kawaguchitakao.com/

Credit

アーティスト

佐藤ペチカ

Guitar

望月隼人

カメラマン

酒本凌

舞台監督

河内崇

照明デザイン

森規幸(balance,inc.DESIGN)

撮影

木村雅章

音声

宮坂遼太郎

編集

酒本凌

撮影コーディネート

松岡大

撮影協力

NPO法人LAND FES

スチール撮影

中川達彦、和田翼

主催

東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

企画運営

NPO法人ダンスアーカイヴ構想