川口隆夫ディレクション企画 「舞踏 ある視点」
伊藤キム+東京令和アングラダンサーズ『この世は儚い地下の楽園』
『この世は儚い地下の楽園』(約60分)
BUTOHスナック(約45分)
人気コンテンポラリー・ダンサーの伊藤キムが繰り広げる秘密のパーティ、あるいは一夜の夢のようなパフォーマンスです。伊藤ならではのユーモア、外連味、アングラのイメージがエネルギッシュに炸裂する、見所たっぷりの49分の映像作品。
伊藤キムと参加アーティストについて
TRUアーティスティック・ディレクター川口隆夫は、1990年代の初め頃、当時流行していたカフェ・バーでのイベントで、踊る伊藤キムと出会ったと言います。伊藤は1990年にソロ活動を開始、95年に自身のカンパニーを設立して以来、日本のコンテンポラリー・ダンスを牽引してきました。古川あんず(1952〜2001)に師事していた彼の踊りのルーツは舞踏にあります。2018年には土方巽(1928-86)の『病める舞姫』を題材にしたソロ・ダンス作品を発表しています。
アングラなエンターテインメントを、という川口の依頼に応え、伊藤は11人のダンサーたちを招聘。主宰するフィジカルシアターカンパニーGEROのメンバーをはじめ、3人のベリーダンサーが含まれています。
また、フリー・ジャズを中心に幅広い分野で活動するミュージシャン、梅津和時が参加。KIKI BAND、こまっちゃクレズマなど複数のバンドを率いる梅津は、今回ソロでアルト・サックスとクラリネットを吹き鳴らし、伊藤とデュエットします。
この世は儚い地下の楽園について
旧動物園博物館駅の閉ざされた扉が開き、サックスの音が聞こえてくるその時から、ノンストップで展開するダンス絵巻。
伊藤キムと梅津和時のデュエットで高まったテンションと熱気は、階段や踊り場で縦横無尽に躍動し、狂喜乱舞するダンサーたちの丁々発止のパフォーマンスと共鳴して、時間の経過とともに地下空間に増幅していきます。舞踏、1970〜80年代のアンダーグラウンドの雰囲気を取り入れながら、伊藤は身体を使ったエンターテインメントの可能性を更新します。
固定カメラのみならず、カメラは時にはダンサーを追いかけ、寄り、この秘密の儀式めいたパフォーマンスを記録しました。
アーティスト
伊藤キム|Kim Itoh
フィジカルシアターカンパニーGERO主宰。舞踏家・古川あんずに師事。95年「伊藤キム+輝く未来」を結成。96年フランス・バニョレ国際振付賞、02年第一回朝日舞台芸術賞・寺山修司賞、08 年横浜文化賞奨励賞。05年にバックパックを背負って半年間の世界一周の旅に出る。15年新カンパニーGERO を結成。18年に、16年ぶりとなるソロ作品『病める舞姫』を発表。創作だけでなく子供や一般市民へのWSも多数。かなっくホール(横浜市神奈川区)レジデンスアーティスト。
トークゲスト
梅津和時|Kazutoki Umezu
音楽家。70年代NYのロフトシーンで活躍、帰国後「生活向上委員会大管弦楽団」でブレイク。「D.U.B(ドクトル梅津バンド)」でヨーロッパで人気を得ると共に、RCサクセション、忌野清志郎のサポートとしてロック界にも広く知られる。欧米~アジアの音楽とも出会い現地ミュージシャンと共演を重ねる。日本で初めてのクレズマバンド「ベツニ・ナンモ・クレズマー」を主宰し、現在の「こまっちゃクレズマ」に繋がる。劇伴や映画音楽も手掛けるほか、詩やダンス、舞踏等とのコラボレーションも多い。
伊豆牧子|Makiko Izu
幼少の頃よりバレエを習い、1994年水戸芸術館にてコンテンポラリーダンスに出会う。2000年秋より一年間渡仏。帰国後本格的に表現活動を始め、2003年より「伊藤キム+輝く未来」に所属。2005年よりGRINDER-MANに参画し、各作品の演出から振付、出演する。近年はメディアアート作品の発表、感覚拡張型エンターテインメント『STAR ISLAND』やイッセイミヤケのパリコレ映像作品の振付を担当する等、幅広い分野で精力的に活動する。
MAHA
19歳で白虎社熊野合宿に参加。暗黒舞踏の世界を体験する。立教大学文学部卒業。在学中より人形劇に興味を持つ。卒業後、自ら『人形』になる決意をし、キャバレーのフロアーダンサーとなり、全国を行脚する。新宿モダンアートにて『モモキラ』を結成。.アートアバンギャルドな作品を作る。当時のステージネームは『星キララ』27歳でコニカギャラリーにて『踊り子の365日』個展を開催。同じく27歳の頃、ベリーダンスを学び始める。末永くできるジャンルとしてベリーダンスを追求する決意をする。1995年アルカマラーニ創設。以来25年間アルカマラーニダンスオリエンタルカンパニーを率いる。2020年めでたく還暦を迎え、カンパニーとしての活動の幕を閉じる。さらなる脱皮をとげて、今後の活動が期待されている。
Photo by 宮川舞子
松岡大|Dai Matsuoka
2005年より山海塾に舞踏手として参加。『金柑少年』『とばり』『卵熱』『ARC』などの主要作品に出演中。11年より、街を歩きながらミュージシャンとダンサーによるパフォーマンスを鑑賞する「LAND FES」を主催。18年より小田原市にて、障がいのある人ない人共にダンスを創る「スクランブル・ダンスプロジェクト」で講師を務める。様々な舞踏家によるオンラインレッスンプラットフォーム「BUTOH CHOREO LAB」主宰。
Credit
演出・構成・振付・出演
伊藤キム
出演・アシスタント
伊豆牧子、MAHA
出演
AYUMI、伊藤奨、甲斐美奈寿、KEKE、篠原健、鈴木しゆう、JUNKO、根本和歌菜、吉田聖菜
演奏家
梅津和時(AS, Cl, Bcl)
協力
u-shi(多田葉子)
撮影編集
NPO法人LAND FES
舞台監督
河内崇
照明デザイン
森規幸(balance,inc.DESIGN)
音響
國府田典明
スチール撮影
中川達彦、和田翼
協力
balance,inc.DESIGN
主催
東京都
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
企画運営
NPO法人ダンスアーカイヴ構想